さまざまなシーンで活用される源帰の適用事例
生物処理が行われる場である微生物集合体の隅々に酸素と栄養を行き渡らせ微生物を活性化し、活性汚泥処理(活性汚泥法)、生物膜処理(生物膜法)やMBRなどの廃水処理の効率を向上させ、費用のコストダウンにも貢献する、独自開発の生物処理改善剤、源帰の適用事例を紹介します。
MBRに対する源帰の働き
MBR施設(平膜)への「源帰」の適用
廃水の種類 | 食品工場廃水 |
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規模 | 日量 約120m³/日 |
処理フロー | 原水 → 調整槽 → 凝集沈殿処理 → *曝気槽 → *曝気槽(液中膜)→ ろ過ポンプ → 処理水槽 → 放流水 *既設(7年目)と新設(2年目)の2系統 |
問題点と要望 | ろ過差圧を下げるための逆洗が多いので頻度を減らしたい |
その他 | 既設MBRろ過膜は汚れがひどく逆洗後でもろ過差圧がメーカー推奨圧(25kPa)を大きく上回るので近々交換予定 |
「源帰」適用後の主な変化
液体製剤(濃度約1mg/L)を凝集沈殿処理のpH調整槽に連続的に添加。粉体製剤は初期に曝気槽に添加。下図にろ過差圧の推移を示した。
➡投入開始当日から、新設のろ過差圧が減少。既設では減少が見られなかった。
➡新設では「源帰」の添加のみでろ過差圧が25kPaを大きく下回ったので薬液による逆洗を中止した。
2ヶ月間ほぼ20kPa以下の状態を保った。
➡既設では逆洗(5/26実施)後にろ過差圧が減少し、約4週間40kPaを下回った。
「源帰」使用前は逆洗後ろ過差圧が低下したが直ぐに元のレベルに戻った。
「源帰」添加後のろ過ポンプ差圧の推移
活性汚泥に対する源帰の働き
活性汚泥処理(活性汚泥法) 概要
活性汚泥処理(活性汚泥法)の維持管理の経験を積まれた管理者は『どういう管理をすれば、活性汚泥のどういう状況に反映されるか』など様々な状況に対する対処法を会得されています。頭の中に方程式が幾つも入っていて経験豊富な人ほど多くの方程式が頭の中にあります。これは経験してみなければ会得できないことで、本を読んだり、人から聞いたところで決して会得はできません。これは見方を変えると『管理努力をしても活性汚泥の状況改善が難しい場合』についても、よく理解されているということになります。
活性汚泥処理(活性汚泥法)の維持管理における限界の例
- - 活性汚泥はすぐ変えられない
- - 一度悪くなるとなかなか復活しない
- - 様々な問題(不調)が起こるのは当たり前
- - すべてを良い状態に両立させる管理が難しい
- - 管理者のノウハウや洞察力などの差が活性汚泥の状態の差となって表れる
活性汚泥処理(活性汚泥法)の管理者が直面する問題の一例
- - 汚泥の沈降性が、沈殿槽でうわ水(上澄水)が取れるギリギリの状態である
- - 汚泥がキャリーオーバーする
- - 糸状性細菌が減らない、もしくは一時的には減らせるが数か月で元に戻ってしまう
- - しばしば発生する放線菌による発泡
- - 多大な余剰汚泥廃棄コスト
- - 引き抜き汚泥を脱水するための脱水機の能力が限界、また設備増設の予算がない
- - 引き抜き汚泥の脱水に使う凝集剤のコストが多大
- - 直ぐにMLSSが増えてDOが低くなる
- - ブロアーの能力も限界
- - 調整槽のオイルボールをすくい取る手間が大変
- - デンプン、油脂分の分解が難しく汚泥中に残る
- - BOD負荷が処理槽設計時より高くなり常にギリギリの状態で管理している
- - 負荷変動が大きく負荷が高い時に処理水の水質(BOD)が規制値を超える
- - 汚泥の沈降性改善のため凝集剤を添加しているが、徐々に処理水質が悪化し始めた
- - 工場の製造品目が変わったら活性汚泥の状態が悪くなった(沈降性不良、分解不良等)
- - 検鏡から処理槽内にデッドヴォリューム(死領域:嫌気性化しやすい汚泥の堆積部分)がある
- - 糸状性細菌が増殖し、臭気がひどい
- - 硝化の進行が不安定である
- - 難分解性成分の処理が難しい(COD成分の処理が難しい)
- - 管理を引き継いだがトラブルが増えた
- - 調整槽や原水槽の臭気に工場の周辺住民からクレームが来る
源帰は従来すぐには変えられなかったこれらの問題の解決に力を発揮します
源帰が示す効果は、あるベテラン管理者の感想に集約されます。
『源帰は私が最大の努力で達成が難しかったことを数日でやってしまった。』
日々の維持管理無しで源帰が最大の効果を表すことはありません。
むしろきっちりとした管理をされているからこそ、驚かれるような効果が数日で表れたのだと思われます。
活性汚泥処理(活性汚泥法)への適用事例(処理フロー:生物膜処理(生物膜法) → 活性汚泥処理(活性汚泥法))
食品加工工場廃水の生物処理における諸問題の改善
- 1. 活性汚泥処理(活性汚泥法)槽での放線菌の増殖・発泡
- 2. 硝化の不安定さ
- 3. 多大な余剰汚泥の処分費
- 4. 調整槽からの臭気への周辺住民からのクレーム
- 5. 極端な負荷変動
様々な問題の克服にベテラン管理者の方が日々努力を重ねて来られました。 またコラーゲンが高分子量の蛋白質で分解が遅いことから、原水と処理水のBOD値として通常の5日間BOD値(BOD5)の他に、 長期間(20日)BOD値(BOD20)を処理の指標としていました。
・原水条件
廃水量 500 m3/日、BOD5 1,600 mg/L、BOD20 5,000~6,000 mg/L
・処理フロー
調整槽 ⇒ 嫌気槽(脱窒槽,フリンジ担体) ⇒ 曝気槽(フリンジ担体) ⇒ 曝気槽 ⇒ 沈澱槽
源帰適用結果
コラーゲン、病院食、水産加工品を製造する工場の廃水処理への適用液体製剤 「源帰L」と 粉体製剤 「源帰P」をそれぞれ0.5 mg/L ,1mg/Lの濃度で添加しました。 添加の翌日、ディフューザの気泡が細かくなったことを目視で確認。 汚泥粘度が、源帰を添加前の60mPa・s から18mPa・sになったことが解りました。 結果として、フリンジ担体上の厚い付着物(肥厚生物膜)が剥離して薄い生物膜が残りました。
活性汚泥処理(活性汚泥法)槽での放線菌の増殖・発泡と調整槽からの臭気について数日で改善されました(➡1.と4.の改善)。 硝化の不安定さについては数日で大きく進行することが確認され、2週間程で、ある変動の中に収まる状態になりました(➡2.の改善)。 余剰汚泥の処分費については3ヶ月間のデータから月平均で脱水汚泥量を35% 削減できたことを確認できました(➡3.の改善)。 負荷変動については高濃度廃水を一時貯留槽に貯めておく対応が必要で源帰だけですぐに解決できませんが、源帰により処理能力が向上したので、 高濃度廃水の処理を早く終わることができるようになりました(➡5.への対応)。 源帰使用前は、BOD20の処理率が安定しませんでしたが、源帰使用後は大幅な改善が認められ処理率が安定するようになりました(➡処理水質の向上と安定化)。
生物膜処理(生物膜法)に対する源帰の働き
生物膜処理(生物膜法) 概要
生物膜処理(生物膜法)の場合では、以下の問題がしばしば発生します。
- - 生物膜担体の肥厚(一部閉塞など)が原因で、生物膜処理槽のBOD除去率が著しく低下してしまう。
⇒微生物製剤の投入や曝気を用いた逆洗による付着物(肥厚生物膜)の剥離を試みてもほとんど剥離しない。
⇒BOD除去率の低下は改善されない。 - - 担体の一部が閉塞状態になっていることが多い。
⇒一年程度で生物膜処理担体としての機能低下が避けられない状態になっている。
こういった問題に源帰は、添加後3~6日で生物膜担体の付着物が剥離して、薄い生物膜を残します。 その後、BOD除去率が上昇して、生物膜担体として最高の性能が発揮出来るような状態に保つことが期待できます。
生物膜処理(生物膜法)への適用事例
事例1. 中国の化学工場でのCODcr除去能改善
これまで不可能であった肥厚した生物膜担体の剥離について、源帰がどの程度の威力を持つのか、中国で撮影した源帰の使用前・使用後の担体(フリンジ型)の状態をご紹介します。 画像は実施設での試験を実施した新疆凱旋新世紀環保科技有限公司王培武博士から提供されました。 源帰をPVC(塩化ビニル)工場(中国新疆石河子市の新疆天業集団有限公司)の重合母液遠心処理液の生物膜処理(嫌気処理→好気処理)に適用した例です。 水量は1,700 m3/日、原水の水質はCODcr250 mg/L、BOD40 mg/L であり生物難分解性成分を多く含む廃液でした。 現場で粉体製剤、液体製剤、原水と栄養を用いてフロックを形成させた上、その液を連続的に曝気槽に添加しました。この方法は、生物難分解性物質を多く含み排水量が多い中国の事情に適していると考えられます。
PVC製造廃液の処理フロー(この系列を2系列並行して設置)
源帰の添加による肥厚担体の変化
源帰添加前
源帰添加後
写真のような薄い生物膜が付着している状態で、「担体上の好気性領域が増えること」「好気性処理を阻害する嫌気性領域がないこと」 「易分解性成分が速く分解するため生物難分解性成分の選択圧がかかる時間が長くなること」等により 顕著なCODcr処理効率の上昇が達成されたと考えられます。 この結果は薄膜状の生物膜で覆われた担体が中国の廃水処理で大きな問題である生物難分解性成分の分解にすこぶる有効であることを証明しています。 処理水質の改善により処理水の再使用が可能になったことにより環境保護に貢献する企業として、 新疆天業集団有限公司は処理水質の改善で処理水の再使用が可能になったことにより環境保護に貢献する企業として表彰されました。 また水の再使用により年間3,000万円以上の節約ができました。ちなみに同企業では2007年から現在まで良好な処理を維持しています。
処理効率の上昇と処理水質の向上
源帰の濃度としては粉体製剤,液体製剤ともに約0.8 mg/Lでした。 源帰の使用によりフリンジ(房)型担体上の肥厚付着物が剥離して薄い生物膜が残り、その後薄い生物膜の更新が繰り返されました。 剥離開始後CODcrの処理効率(mg/d/L)は徐々に上がり約4週間後に剥離前の1.5倍(0.36 mg/d/L)になりました。 その結果、源帰適用前に20~60 mg/L であった処理水のCODcr値が、源帰適用後には6~20 mg/Lまで改善されました。
剥離前と剥離後の処理水のCODcr値の推移
さらに2系列で処理していた廃液の全量を1系列のみを使って処理したところ、処理効率が平均で剥離前の2.8倍以上、 剥離後の2系列処理の場合の約1.9倍(0.68 mg/d/L)にも上がり、半分の処理槽容積で処理できることが実証されました。
1系列の処理槽のみを使って処理したときの様子
源帰を添加後の薄膜状生物膜形成維持によるCODcr処理効率の上昇
生物膜処理に対しての効果
担体上に付着した肥厚生物膜が剥離して薄い生物膜が残り、その後、薄い生物膜を維持できます。このことでこれまで不可能とされていた処理性能が低下した生物膜処理の復活が可能になるのです。
MBR(膜分離活性汚泥法)に対しての効果
源帰を使用後、濾過膜の化学洗浄を行うと、顕著な膜汚れ(ファウリング)に抑制効果が表れます。その後の洗浄の間隔を4~5倍に伸ばすことができ、廃水処理の向上とともに、コストダウンに貢献します。
不調の多くは微生物集団の『くっつき過ぎている状態』が原因
これまでの実績では、好気性生物処理で頻繁に起こる問題(改善を要する不調な状態)のうち8割ほどを源帰により改善することができました。言い換えれば現在頻繁に起きている問題の約8割は、微生物集団が『くっつき過ぎている状態』が原因で起きているのではないでしょうか。源帰により微生物集合体をほぐして隅々まで酸素と栄養が行き渡れば多くの問題が改善の方向に向かうと考えています。
源帰が効く前提条件
生物処理の状態は、原水、設備、管理の3つの条件により大きく影響されます。源帰が効果を発揮するためには設備に大きな問題がなければ、BOD値に対する窒素とリンの値とBOD負荷が概ね適正であること、維持管理の努力を常時していることが大前提になります。源帰はこれらの前提から大きく外れている生物処理を改善できるような『魔法の薬』ではありません。源帰で改善されない場合は、何か見落としている大事なことがないか点検することが必要です。
源帰が苦手な問題
源帰で改善できない問題は、難分解性物質の残存(COD処理)、着色、微生物を弱らせる殺菌剤・防腐剤・抗生物質を含む廃水の処理などです。但し、COD処理については、源帰によりBOD分解が促進されるのでCOD分解が促進されます。その効果は生物膜処理で顕著です
これまでの実績では、好気性生物処理で頻繁に起こる改善を必要とする不調な状態のうち、8割ほどを源帰により改善することができました。 言い換えれば現在頻繁に起きている問題の約8割は、微生物集団が『くっつき過ぎている状態』が原因で起きているのではないでしょうか。
源帰により微生物集合体をほぐして隅々まで酸素と栄養が行き渡れば、多くの問題が改善の方向に向かうと考えています。
生物処理の状態は、原水、設備、管理の3つの条件に大きく影響されます。源帰が効果を発揮するためには設備に大きな問題がなければ、 BOD値に対する窒素とリンの値とBOD負荷が、おおむね適正であること、維持管理の努力を常時していること、が大前提になります。 源帰はこれらの前提から大きく外れている生物処理を改善できるような『魔法の薬』ではありません。
源帰で改善されない場合は、何か見落としている大事なことがないか点検することが必要です。源帰で改善できない問題は、 難分解性物質の残存(COD処理)、着色、微生物を弱らせる殺菌剤・防腐剤・抗生物質を含む廃水の処理などです。
ただし、COD処理については、源帰によりBOD分解が促進されるのでCOD分解が促進されます。その効果は生物膜処理で顕著です。
(中国での実績のイメージ)